いちじくに含まれるフィシンの効果

いちじくには、フィシン(ficin) も含まれています。これはタンパク質分解酵素プロテアーゼであり、システインプロテアーゼのひとつとなっています。

 

フィシンはいちじくを切った時に見られる白い乳液に含まれている成分で、いちじく自体がこの乳液を内包している理由は、乳液中のフィシンが、いちじくが傷つけられた時に侵入してくる可能性がある細菌を殺すためだとされており、実際にこの流駅は害虫などの昆虫に対する有効な防御物質になっていることが確認されています。

 

いちじく以外にもこうした作用のある乳液を出す植物もあり、病害虫の防除成分の発見が期待されています。

 

さてこのフィシンですが、タンパク質と接触するとそのタンパク質を分解する作用があり、そのためタンパク質分解酵素といわれています。

 

しかし、いちじく自体のタンパク質を分解するわけではなく、それはいちじくの中でフィシンが細胞中の液胞に局在しているからで、細胞内に含まれるタンパク質とは接触していないのです。実にうまくできているわけですが、フィシンのタンパク質分解力はかなりの効果があって、いちじくを触っているだけでも指紋が消えるといわれるほどです。

 

イタリア料理などではよくイチジクを使うのですが、これはいちじくのフィシンによって肉のタンパク質を溶かし、肉料理を軟らかくできるからなのだそうです。効能としては、食べ過ぎやお酒を飲んだ後の消化促進作用や二日酔防止や、胃や腸の症状を改善する働きがあります。