いちじくの基礎知識

いちじくは「無花果」とも書くクワ科イチジク属の落葉高木の果実です。原産地はアラビア南部ですが、古い歴史があり、メソポタミアでは何と6000年以上も前から栽培されていたとされています。

 

最近の研究では、世界最古の栽培品種化された植物がいちじくだとも示唆されています。地中海の世界では古くから知られていて、古代ローマでも最も普及していたフルーツのひとつとされ、当時の甘味源として重用されていました。

 

いちじくが日本に入ってきたのは、江戸時代の初期で、ペルシャから中国経由で長崎に伝来したのですが、当初は薬樹とされていたようです。

 

そのうちに果実は生食で甘味を楽しむようになって、挿し木をすれば増やすことも容易なことから、手間のかからない果樹として庭などに多く植えられるようになったわけです。

 

果実は生食できますが、最近では乾燥いちじくとして多く流通するようになっています。どちらにしても、そのまま食べるというよりは、パン、ケーキ、などに練り込まれることの方が多く、他にもジャムにしたり、ソースの材料、ワインや酢の醸造用に利用されています。

 

「無花果」という呼び名は生薬として用いられる時の呼び名で、実際にいちじくには整腸作用があり、果実を干して緩下剤に使われていました。

 

また、果肉や葉から出る乳液(ゴムに近い樹脂分)は、民間薬として、痔やイボの治療にも使われていました。こうした効果から不老長寿の果物と呼ばれていたのかもしれません。